ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2017年2月号 NO.213

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2017年2月号 NO.213

4 毎年年長児は秋のピッコロ祭りに出店し、その売上で好きな物を買いに行けることになっている。今年の年長児も迷いに迷って「マジックセット」を買うことにした。マジックセットが売っている店舗(100円均一店)がやっと見つかり、13名全員で買い物に出かけた。全員でお店に入るわけにもいかないので、2グループに分かれてほしい旨を子どもたちに伝えたら、どういうわけか女子(6名)と男子(7名)に分かれた。最初は男子グループが買い物をした。女子はガラス越しに中をのぞいて待っていた。 買い物が終わり、少しの緊張と嬉しさからルンルンと出てきた男子に女子が言った。「なんで(レジ)袋もらったの」。私は前日にレジ袋はもらわない旨を伝えてあった。すると男子が全員チ~ンと下コラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也レジ袋第  回を向いた。誰かが小さな声で「だってくれたから…」と言うと、女子が「いりませんって言わなかったの!」と言う。チ~ン。「だって誰かがもらっちゃったからさぁ…」。女子「わかっているなら自分で言えばいいでしょ!」。女子にはかなわないのだ。私はそのやりとりをずっと聞いていた。自分もレジ袋を断れずついもらってしまうこともある。ま、今回は仕方ないかと思い「じゃ行こうか」と言おうと思ったら、彼らは丸くなってなんと話し合いを始めたのだ。子「返す?」。子「返そうよ」。子「でもシワが(ついちゃった)…」。子「ダメか」。子「シワ伸ばそうよ」。子「伸ばせば大丈夫かも」。子「でもばい菌がついちゃったよ」(私はこのとき「ばい菌?」と思った。ピッコロの生活からばい菌という言葉は考えにくい。幼児の言葉は翻訳が必要なのだ。これは「使用済み」を返却していいのかということだと思う)。するとはるちゃんが言った。「せっかくくれたものなのに返していいの」。人は物と一緒に気持ちもくれる。せっかくいただいた気持ちを返すのはいいことなのかということだ。これは深い。 長時間話し合った結果、「ばい菌ついてごめんなさい」と言って返すということになった。ここまで子どもたちだけで話し上げたことに、私はすでに泣きそうだった。それにしても面白い結論。するとらーちゃんが言った。「行ってきてあげよっか~」。男子がかわいそうになったのだ。すると未来ちゃんが「でも自分で行った方がいいと思う」と言った。こちらも深い。男子を育てようとしているのだ。すると自然と4人の男子がレジ袋を持って静か47