ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2017年1月号 NO.212

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2017年1月号 NO.212

4 森のようちえんピッコロでは、冬になると「飯炊き」をする。子どもたちがマイ鍋を持参し、たき火で白飯を炊く。プリンカップに米1杯、水2杯。これだけはやって見せるが、あとは何も教えない。しかし子どもたちは、米が飯になるしくみがわかっているかように、見事に白飯を炊くことができるのだ。途中でパカパカふたを開ける。どこで判断しているかわからないが、「まだ」「あと少し」と言ってふたを閉める。そして適当なときに火から下ろし、しばらくして食べ始めるのだ。全員の飯を味見させてもらうが割とおいしい。中には焦げる子も芯が残る子もいるが、次回は工夫してやるようになる。そこに育ちがあると思っている。 コラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也子どもが子どもを育てる第 回 先日の飯炊きの日、年中女児さーちゃんが鍋をたき火にかけようとしたとき、鍋が傾いて米と水が土の上にこぼれてしまった。すぐに年長児がさーちゃんの周りに集まった。「大丈夫だよ」「まだ(鍋の)中に残っているからね」。米は少なくなったが、年長児がたき火の上に置いてくれた。それでもまださーちゃんは泣き続けた。落とした米をどうにかしないといけないとわかっていたのだ。お米は大事なものなので、私もさーちゃんが自分で拾ってほしいと思っていた。けれど泣き続けるだけで拾わない。年長児は自分の米を炊き、他の子の鍋も見るのでとても忙しい。その中で泣いているさーちゃんの横を通る度に、「大丈夫だよ」「怒られると思ったの?怒られないよ」と、やさしく声をかける。けれど一向にさーちゃんも年長児も米を拾わないのだ。私はこの場をどうしようかと思った。さーちゃんができないことはわかる。誰にでもできないことはある。ただ大事なお米だし、できないときはできないなりに誰かにヘルプを出せる子になってほしい。それが自立の第一歩だと思うからだ。迷ったが私ももう少し待つことにした。しかしいつまでたっても米は誰にも拾われなかった。そうこうしているうちに次々と炊けていき、徐々に子どもたちはピッコロハウスで食べ始めた。外にいる人数がだんだん減ってきたので、「私もそろそろ中で食べ始めるよ」と、さーちゃんに言ってみた。すると時間切れと思ったのか、泣きな46