ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2016年11月号 NO.210

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2016年11月号 NO.210

4 私は比較的ムカッとすることが多い。そんな自分に対して自責の念はないのだが(笑)。しかし平穏な人には憧れてしまう。ピッコロっ子もあまり怒らないと私は感じる。もちろん喧嘩はあるのだが、幼児にしてはそんなに多くはない。 先日、森で年長男児こはく君がカブトムシを持っていた。男子にとってカブトムシの存在とは何なのだろう。夢中、首ったけ、そんな言葉が似合う遊びをずっとしていた。すると次は落ちていた枝を上に向けて、そこにカブトムシをとまらせた。カブトムシはだんだん上方へと伝っていく。1 本目の枝に2 本目の枝をくっつけた。カブトムシは2 本目に移った。とその瞬間に、男子から大歓声が上がる。どれだけ好きなのか(笑)。その時、身振りでコラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也怒り第 回歓声を上げたので、年長男児しゅうへい君の手が2本目の枝にぶつかってしまった。同時にカブトムシが森の斜面にポロリと落ちた。宝のように大事にしていたこはく君は、感極まった表情でしゅうへい君の頭をバシッと叩いた! 珍しい。やるせない思いだったのだろう。しゅうへい君もわざとではなかったので、悔しくてやり返した。バシッ! これも珍しい。やられたこはく君もバシッ。またまたしゅうへい君もバシッ。合計4回叩いたり叩かれたりが続いた。すると年長男児あー君が2人の真ん中に立ちはだかり、両手を広げてこう言ったのだ。「ありがと~ 、ありがと~ 、ありがと~ 」。すでに仲裁役のあー君はかすかに笑っている。その笑いに誘われたように、いや当人同士もそろそろ引いていたようにも見えたが、そこにいる全員がうっすらと笑っていた。その一瞬後、共鳴したように全員がわっ!と笑い、これで喧嘩はおしまいになった。見事な終幕だ。私は息を吸って吐けなかった。男子のアウンの呼吸。そしてありがとうという言葉をここで使うのか… 。身震いがした。その場は見事に調和し相変わらず私だけが浮いていたが、私はこんな子どもたちに憧れている。 ピッコロではわからないことが多い。ピッコロっ子がどうしてあまり怒らないのかということもその一つだ。先日も雨天だったので、ビニールハウスの中で絵の具を使って絵を描いた。ビニールハウスは狭いので、ロッカーのすぐ近くに机を置いた。年中女児みれいちゃんは机の44