ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2016年9月号 NO.208

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2016年9月号 NO.208

30小児科Dr. 宮本の連載コラム午後10 時、クリニックにて…    ?おほしさまの先生からの子育て応援“談”!?宮本直彦(みやもと・なおひこ)小児科医。山梨市加納岩総合病院勤務などを経て2004 年、昭和町で夜間の小児救急にも対応する医院・げんきキッズクリニックを開業(現在夜間診療は終了)。2009 年春、移転してリニューアル。クリニックと同じ敷地内に「げんき夢保育園」を開園。Vol.137 SSPE 青空の会サマーキャンプ記 ようやく暑い夏が終わります。みなさんの夏の思い出は何ですか? 私はある猛暑の日曜日、3歳の娘と2人で緑ヶ丘のプールに行きました。車ではなく自転車で行きたいと駄々をこねられて、汗びっしょりになって20 分間自転車をこぎながらようやく到着しました。プールでは、顔を水につけることができ喜んでいる娘の様子を見て、成長を感じ暑さも忘れて楽しみました。 7月末に起きた相模原障害者殺傷事件はあまりにも悲惨な事件でした。被害者の方にお悔やみ申し上げます。「障害者はいらない」という発言には全く正当性はなく、憤りを禁じえません。今年4月施行された「障害者差別解消法」は、障害のある人もない人も互いにその人らしさを認めながら、共に生きる社会を作ることを目指そうという内容です。この法律が目指す社会づくりに微力ながら尽力していきたいと改めて感じました。 今月は、昨秋北杜市にある「あおぞら共和国」にボランティアで草刈りをしたことがきっかけで、難病の一つSSPE(亜急性硬化性全脳炎)のサマーキャンプに参加してきましたので、みなさんに報告します。「あおぞら共和国」とは あおぞら共和国はNPO 法人「難病のこども支援全国ネットワーク」が北杜市に整備を進めている施設です。難病や障害のある子どもたちとその家族が、ゆっくりと気兼ねなく数日間すごせる別荘で、今年4月には山梨県歯科医師会や日本財団等の支援を受けて、3号棟ロッジが完成し整備が進行中です。SSPE(亜急性硬化性全脳炎)とは 亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitisSSPE)は麻しん(はしか)に感染してから数年の潜伏期間の後に発病し、発病後は数ヵ月から数年の経過(亜急性)で神経症状が進行するという病気です。治療法は確立されておらず、現在でも予後が悪い病気です。麻しんにかかった数万人に1人が発症し、患者数は現在全国に150 人程度います。以前は年間発症者数10 ~ 15 人くらいでしたが、麻しんワクチンの普及により最近の発症者はほとんど見られません。現在、定期接種で1歳と年長さんに麻しん風しん混合ワクチンを2回接種することにより、この病気が予防できていることをサマーキャンプで再認識させられました。サマーキャンプに参加して SSPE 青空の会では1986 年以降、毎年関東周辺で2泊3日のキャンプを行なっています。今年は初めてあおぞら共和国で開催されました。患者さんとその家族が中心となり、医療者・教育者・福祉関係者など総勢50 名を超える方々の参加がありました。医師と患者さんの家族を囲んでの勉強会では、治療法について真剣な議論が交わされました。その後の交流会では、BBQ で地元の新鮮な野菜や肉を食べました。BBQ後のゲーム大会では、患者さんも参加してチームに分かれ、老若男女問わずゲームを楽しみました。中でも伝言ゲームはたいへん盛り上がりました。交流会の中で患者さんの家族から病気になった経緯を聞く機会を得ました。「ワクチン接種対象年齢前の0歳代に麻しんにかかり、その後は全く元気に普通の生活をしていましたが、楽しい高校時代を送っていた時期に足のピクつきが始まり、やがて寝たきり生活になってしまった」「親としては、発症し急激に症状が悪化しているにも関わらず何もできずにいたことが一番つらかった」という内容でした。私も元気な高校生の息子を持つ父親でもあるため、話の内容が想像できて本当に切ない思いになりました。チャリティーウォークに参加しませんか? 2013 年以降毎年恒例で行なわれているチャリティーウォークが今年も10 月に予定されています。日野春駅からあおぞら共和国までの12km を難病の子どもたちと一緒に歩く催しです。私も今回、家族やスタッフと共に初参加し、あおぞら共和国に関する理解を深めていきたいと考えています。ご寄付本当にありがとうございました みなさまのご寄付のおかげで重症心身障がい児日中一時預かり施設(スマイル)の工事が無事完了し、スタートすることができました。200 万円を超える寄付をいただきました。 寄付をいただいた方の中には、生前、難病の息子さんが作業所で働いて貯めていたというお金を「この子が生きていた証に…」と寄付してくださった方がいました。スマイルの部屋に掲げられている寄付者ネームプレートの一つが、その亡くなったお子さんの名前となっています。私も職員もこのネームプレートを見るたびに胸が熱くなり、お預かりするお子さんやご家族の負担が少しでも減るように、この事業を進めていかなければと痛感させられます。ご協力いただきましたみなさまにはこの場をお借りして御礼申し上げます。