ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2016年8月号 NO.207

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ちびっこぷれす Chibikko press 2016年8月号 NO.207

32小児科Dr.宮本の連載コラム午後10時、クリニックにて…    ?おほしさまの先生からの子育て応援“談”!?宮本直彦(みやもと・なおひこ)小児科医。山梨市加納岩総合病院勤務などを経て2004年、昭和町で夜間の小児救急にも対応する医院・げんきキッズクリニックを開業(現在夜間診療は終了)。2009年春、移転してリニューアル。クリニックと同じ敷地内に「げんき夢保育園」を開園。Vol.136 熱性けいれん最新情報 山梨県が日本一番の暑さの日が続いています。夏休みは花火大会・盆踊り・夏祭り、そして海や山へと家族で出かける行事がたくさんあるのではないでしょうか? うちは神明の花火大会(市川三郷町)と家族旅行を予定しています。今までうちの寝室にはクーラーがなく、がんばって耐えてきましたが、先月体のためを考えてクーラーを設置しました。年々老いていく体をいたわりながら余生を送りたいと思います。 先月は参議院選挙があり、県内では宮沢由佳さんが当選しました。子育て支援を強く訴えていた方です。女性の目線で現場の声を伝えながら、政策に生かしてほしいと願っています。6年間健康に気をつけてがんばっていただきたいです。 今月は「熱性けいれん診療ガイドライン2015」が昨年3月発表されたことを受けて、熱性けいれんについて取り上げたいと思います。18年ぶりに改訂され、新しい知見もありますのでこれについてお話します。熱性けいれんについて 熱性けいれんは生後6ヵ月から5歳までに起こり、熱を伴ったけいれんが起こります。頻度は20~30人に1人程度。発作の時間は5分以内におさまることが多く、後遺症などは基本的にはありません。 けいれんが起こった場合、非常に慌ててしまいますが、冷静になることが大切です。まず安全な場所へお子さんを寝かせて、服をゆるめ、顔は横向きして、口には決して物を入れないでください。人を呼び、けいれん時間やけいれんの様子を観察し、けいれんが続くようであれば救急車を呼ぶことを考える必要もあります。ダイアップ予防投与の基準が変更 ダイアップ予防投与とは、熱が出た場合にダイアップ(ジアゼパム)坐薬を使用することでけいれんを予防する方法です。37.5℃以上を目安にダイアップ坐薬を入れ、8時間後に熱があればもう1度ダイアップ坐薬を入れることでけいれんを予防します。その反面、ダイアップ坐薬による副作用として、眠気やふらつきなどが見られることがあるため注意する必要があります。熱性けいれんは発熱後24時間以内に起こることが多いので、3回目の使用は必要ありません。期間は最終けいれんから1~2年、もしくは4~5歳までとなっています。 今回のガイドラインでは、ダイアップ坐薬の使用を従来よりも控える方向となりました。対象者は15分以上のけいれんを認めた方、もしくは①部分的なけいれんまたは24時間以内に反復する、②熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞、③熱性けいれんまたはてんかんの家族歴、④12ヵ月未満での発症、⑤発熱後1時間未満のけいれん、⑥38℃未満でのけいれんの6項目のうち2つ以上を満たし、かつ2回以上けいれんをした場合となりました。よってそれ以外の場合は対象者となりません。再発率は③~⑥が該当しなければ約15%、該当すると約30%になります。 ただしガイドラインはあくまでも目安となります。一人ひとり対応が違って構いません。かかりつけ医と相談し、医療体制や家族の不安・心配を加味し対応していくことが最善と思われます。てんかんになりやすくなるのか? 熱性けいれんがあるお子さんがてんかんを起こす頻度は2~7.5%です。一般人口比0.5~1%より高くありますが、熱性けいれんのお子さんの90%以上はてんかんを発症しません。熱性けいれんになるからといって、てんかんへ進展・移行することにはなりません。なお、ガイドラインは以下に公開されていますので参考にしてください。ウティナンさんの裁判結果報告 不法滞在の母親の元に日本で生まれた現在高校生のウォン・ウティナンさんが在留許可を求め、昨春から裁判が始まり数回の公判を経て、先月ようやく判決結果が出ました。「完全敗訴」という残念な結果でした。ただ判決文の最後に「仮に、お母さんが帰国しウティナンさんの監護養育をする人がいる場合に限り、ウティナンさんだけ在留許可が出る可能性もある」という趣旨が書かれていました。皆様からの署名、ご寄附、温かい応援の言葉、多くの方の公判の傍聴など多大なご支援があったからこそ、このような判決の文章を引き出すことができたのだと思います。皆様には心から感謝申し上げます。今後については2人の意思を確認し、お母さんはタイに帰り、ウティナンさんだけが日本に残る方向で進めていくことになりました。まだ決着していませんので、これからも見守っていただけたら幸いです。参考文献:熱性けいれん診療ガイドライン2015minds4.jcqhc.or.jp/minds/febrile_seizures/febrile_seizures.pdf