ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2016年3月号 NO.202

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2016年3月号 NO.202

4 年長組は2月に3年間の感謝の気持ちを込めて、両親へランチを作って差し上げるという行事(ご招待ランチ)をする。もちろん焚き火を使って自分たちで作る。メニューも自分たちで決める。今年度はハンバーグ。両親が好きなものだそうだ。具材の買い物も自分たちでする。年長組10名とスーパーに行った。緊張の中買い物が終わり、毎年お店でたこ焼きを食べてくることになっている。ここでも自分たちで注文しお金も払う。 子どもたちは男子4人と女子6人の2つのテーブルにわかれて座った。私は男子のテーブルに加わった。たこ焼きは1皿8個入り。5人で8個のたこ焼きをわけるということだ。食べ物をわける時、ピッコロでは色々な方法をとる(ジャンケン、にらめっこ、我慢できる子が我慢するなど)。するとすぐ太郎君が「ジャンケン?」と言った。一同「いいね」。するとひろと君が言ったのだ。「先生はあれだよ、いつも(子どもたちを)見てくれてるからあげなきゃ」。私を立ててくれたということだ。えーー、6歳ってこういうことができるんだ(泣)。中島が1つもらうことになったので残りは2つ。「最初はグー!ジャンケンポン!」。私はもらえたのに一応ジャンケンに入ってみた(笑)。子どもたちがどうするか見てみたかったのだ。するとひろと君がクスッと微笑みながら、右手を私の前に出して私を制し、左手で自分のジャンケンをした。えーー、こういう制し方か~。「先生!ジャンケン入っちゃだめでしょ!」と怒る子はもういない。こんな柔らかな制し方をされた子は、きっといつか柔らかく断る子になるのだろう。 ジャンケンはちさと君とひろと君が勝った。負けた太郎君が「え~」と言った。するとひろと君がまた微笑みながら「太郎がジャンケンって言ったんだろ」と言った。その言い方は責めるでも哀れむでもなかった。大きな器で包むようだった。2個目のたこ焼きを食べ始めたのはちさと君、ひろと君、中島だった。太郎君とあまね君は1個目を食べ終わっていた。ちさと君とひろと君は自分たちの分をわけてあげるのかと思ったら、彼らにその気配はなかった。このジャンケンは全員の同意で決めたことだ。それでいいと私は思った。ただ問題なのは中島の分だ。この場合大人はどうすればいいのだろう。コラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也第  回36たこ焼き