ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2016年1月号 NO.200

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2016年1月号 NO.200

4 一昨年2月の話だ。年長女児4人を私の車に乗せて買い物に行った。年長児はもうすぐ卒園だ。小学校へ向けての期待と嬉しさで満ちていて、毎日ルンルンしていた。当然私の車に乗ってもそのルンルンが続いていた。私は以前から聞いてみたいことがあった。「ね、みんなは幸せなの?」。普通に聞いた。すると4人は案の定ルンルンの続きで「う~ん?」と言った。だよね、幸せそうだものね。それで「なんで?」とも聞いてみた。すると一人の子が「怒られるから~」と、またルンルンで答えた。“まったく、いくらルンルンでもその答えはないでしょ”と、私は思った。浮かれすぎ(笑)。冗談を言ったと思い真剣に取り合わなかった。で、更に聞いてみたのだ。「で?本当はなんで?」(しつこい)。すると彼女は「怒られるから」とまた言った。え! また言ったということは本心!?どういうこと!? 少し焦った。判断がつかない時はその先に会話を進めるしかない。私「でもさ、普通怒られるって嫌なことじゃない。怒られるから幸せって変だよね」。すると彼女が言ったのだ。「だって、いい大人になれるから」。うっ、嘘じゃなかった。そんなレベルのことではなかったのだ。彼女は真にいい大人になりたくて、それには大人が怒ってくれることが必要で、だから怒られて幸せと、そう言ったのだ。絶句した。だがまだ信じられず他の子にも聞いてみた。「他の子はどうなの、怒られると嫌でしょ」。残りのみんなが言った。「嬉しい」。「怒られるのは嫌だけど怒られたい」。ガーーーン。怒られると嬉しいのだって!!! 衝撃的だった。子どもたちは私と違い、徹底的に前を向いているのだ。ただこの場合の「怒られる」には多少区別があると思われる。子どもたちは大人が本当に子どものためを思って怒ってくれているのか、大人自身のために怒っているのか、大人のイライラで怒っているのか、その辺はよくわかっていると思う。なので“子どものために怒ってくれる場合は怒られたい”ということだろう。幼児の言葉には翻訳が必要だといつも思っているが、彼女たちの言葉は「真剣に向き合ってくれて嬉しい」と言っているようにも思えた。コラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也怒る第  回34