ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年12月号 NO.199
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ちびっこぷれす Chibikko press 2015年12月号 NO.199
5神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」をスタート。以来、森のようちえんの活動を実践し続けている幼児教育の専門家。自然の中で〝子どもたちが自分で考え、自分で決める?保育スタイルが注目を集める。現在は約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。めてもおやつをあげても全くだめ。なかなかうまくいかなかった。だが毎日思考錯誤した結果、ある方法がわかったのだ。子どもが「お母さ~ん!」と泣く。私は「お母さんに会いたいのね」と共感する。すると心持ち泣き声が小さくなる。でもまた「お母さ~ん!」と泣く。「お母さんと一緒がよかったのに悲しいね」と共感する。すると少し泣きやむ。この繰り返しで子どもたちはどんどん落ち着いていったのだ。そこで私は思った。もしかして子どもは寂しくて泣くというよりも、寂しい気持ちをわかってほしくて泣いているのかもしれないと。泣いた子はみんな遊び始めホッとした。これで子どもたちが3時間ここにいる意味がある。私はここでは9 0%くらいの子を泣きやませることができるようになった。 これは現在、森のようちえんピッコロの保育方法の一つである「気持ちをわかる(共感)」ということになる。お母さんに会いたい気持ちを逸らそうとしない、彼の悲しい気持ちを一緒に引き受ける。「彼は悲しいのだな」と思うだけでなく、大人自身も悲しい感情を持つということでもある。しかもピッコロでは「喜怒哀楽4つの感情を平等に出す」ということもしている。大人は子どもの「嬉しい」や「楽しい」という感情は共感しやすいが、「やりたくない」や「嫌い」という感情は認めにくい。だが感情は裁かれてはいけない。「やりたくない」という気持ちは誰のものでもない、その子のものだ。親であっても裁くことはできない。「やりたくないのね」と共感する。ただそれが「片づけをやりたくない」などの場合、気持ちは受け止めるが、実際に片づけないという行為を認めるわけにはいかない。おもちゃの片づけはやりたくなくてもやらなくてはならないものだ。「気持ちは受けるが行動は受けない」。これもピッコロの保育方法の一つである。「やりたくない気持ちはわかるけれど、やりますよ」ということだ。そしてこれは、自由と放任という話にもつながると思う。これは後日書くとして、この「気持ちをわかる(共感)」ということ。もしかしたら子どもたちが生きていく上でものすごく重要なことかもしれないと最近は思っている。これもまた次の機会に。