ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年11月号 NO.198

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ちびっこぷれす Chibikko press 2015年11月号 NO.198

30小児科Dr.宮本の連載コラム午後10時、クリニックにて…    ?おほしさまの先生からの子育て応援“談”!?宮本直彦(みやもと・なおひこ)小児科医。山梨市加納岩総合病院勤務などを経て2004年、昭和町で夜間や休日の小児救急にも対応する医院・げんきキッズクリニックを開業。2009年春、移転してリニューアル。クリニックと同じ敷地内に「げんき夢保育園」を開園。Vol.127 赤ちゃんが股関節脱臼にならないために 食卓では栗・柿により彩りが添えられて、外では3歳の娘と一緒にどんぐり・松ぼっくり拾いや遊具で遊んで秋を楽しんでいます。 9月中旬に病児保育事業を行なっている施設が集い、県内で初めて全国病児保育協議会山梨県支部による研修会が行なわれました。実は今夏、全国病児保育協議会山梨県支部の支部長を仰せつかったため、7月に熊本で開催された全国病児保育研究大会の学びを共有しようと急遽計画されたものです。全国病児保育協議会加盟の4つの施設から医師・看護師・保育士らが参加し、研修と共に他の病児保育室職員との交流もでき、大変有意義な会となりました。来年は県内各地域の病後児保育室に参加を広げ、これからの子育てには必須となってきた病児・病後児保育事業を盛り上げていきたいと思います。 今月は診断の遅れが指摘されている先天性股関節脱臼についてお話をします。診断の遅れが問題 先天性股関節脱臼は足の付け根の関節が外れる病気です。1970年代以前は乳児の1~2%に見られましたが、予防啓発・乳児健診の普及により現在は10分の1(1000人に1~3人)まで低下してきました。最近、患者数の減少で認識が薄れていることもあり、健診で見逃されることが多くなってきました。 全国の大学病院やこども病院などの施設を対象に2013年に行われた調査では、2年間で「股関節脱臼」と診断された子どもが1295人で、うち199人(15.4%)が1歳以降に診断され、36人が3歳以降に診断されていました。また、1歳以降で診断された199人はほとんどが乳児健診を受けており、見逃し例が問題となっています。 治療法は生後3~4ヵ月の乳児健診で見つかれば、リーメンビューゲルというベルト状の装具で治せますが、発見が遅れると入院してけん引・手術が必要になってきます。3~4ヵ月健診で診断できることがベストです。チェック項目 日本小児股関節研究会が作成した「乳児股関節脱臼一次健診の手引き」によると、①股関節の開き具合、②太ももや股のしわが左右対称であるか、③家族に同じ病気がいる、④女子、⑤逆子で生まれたかの5つがチェック項目として挙げられています。股関節の開き具合が悪い場合は2次検診へ。太ももや股のしわが左右対称であるか、家族に同じ病気がいる、女子、逆子で生まれたかについては、4項目中2項目以上が該当した場合に2次検診へ紹介するようになっています。予防法 この病気は「先天性」と名付けていますが、出生時に脱臼していることは少なく、おむつの当て方や抱き方などが影響します。脱臼は足を伸ばすことが問題であるため、赤ちゃんの足は両膝と股関節が十分に曲がったM字型で足を動かしやすくしてください。おむつ交換時に足首をつかんで吊り下げるようにして赤ちゃんのおしりを浮かせたりすることや、横抱きのスリングは開脚の姿勢がとれず両足が伸ばされてしまうためお勧めできません。おむつ交換の時はお尻の下に手を入れ、腰から持ち上げるようにしてください。抱っこは正面から抱くと両膝と股関節が曲がったM字型開脚ができ、あたかもコアラが木につかまった形であることから「コアラ抱っこ」と呼ばれていて勧められています。一般の方向けにお勧めできる動画とパンフレットがありますのでご活用ください。動画shirumirumamoru.info/sickness/video02.html資料www.jpoa.org/wp-content/uploads/2013/07/pediatric3.pdf 先天性股関節脱臼が疑わしい時は、小児科ではなく整形外科が専門家になります。先月行われた勉強会で、山梨大学附属病院整形外科の先生からの講義を聴きました。困ったら大学の整形外科への受診を勧めていました。診断の遅れがその子の将来に関わってきますので、参考にしていただけたら幸いです。~インフルエンザワクチン情報~ 先月からインフルエンザワクチンの接種があちこちで行なわれています。今シーズンから従来の3価(A型2種類、B型1種類)からB型が1種類追加され、4価(A型2種類、B型2種類)になり効果が期待されています。ただ、1種類増えたことで製造コスト増により接種料金が高くなりました。県内では既にインフルエンザによる学級閉鎖も報告されているため、早めの接種をお勧めしています。参考文献:乳児股関節脱臼一次健診の手引き 日本小児股関節研究会www.npa-niigata.jp/150508kokansetutebiki.pdf