ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年10月号 NO.197

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ちびっこぷれす Chibikko press 2015年10月号 NO.197

36小児科Dr.宮本の連載コラム午後10時、クリニックにて…    ?おほしさまの先生からの子育て応援“談”!?宮本直彦(みやもと・なおひこ)小児科医。山梨市加納岩総合病院勤務などを経て2004年、昭和町で夜間や休日の小児救急にも対応する医院・げんきキッズクリニックを開業。2009年春、移転してリニューアル。クリニックと同じ敷地内に「げんき夢保育園」を開園。Vol.126 こころの問題について セミの鳴き声から鈴虫の音に変わり、季節は秋となりました。運動会があちこちで開催されています。ママはお弁当の中身を考えたり、パパはビデオやカメラの準備をしたり、本人とともに家族も盛り上がることができる行事だと思います。うちの3歳の娘は一人で鏡を見ながら、運動会で踊る歌を歌ったり踊ったりして練習に励んでいます。 最近、山梨県人口100万人で話題になりました。山梨県って皆さんどんな印象でしょうか? 私は県外出身者ですが、山梨県はとても住みよい県だと思っています。自然が豊かで温泉がある。その上お店に入るための長い行列もありません。東京に近く、家を建てようと思えば東京に比べ地価が安い。また保育園に入りやすい。朝の車の渋滞も少ないなど、心に余裕が持て人間らしい生活ができます。心と体がともに元気でないと健やかな生活を送ることはできません。 今月はクリニックでよく相談を受ける“こころの問題”についてお話します。痛みの訴えは早めに対応 胃腸炎や風邪でお腹や頭が痛いと訴える場合は数日で落ち着いてきます。この場合は嘔吐・下痢・咳・鼻水などの症状も伴います。反対に心の問題の場合、「頭が痛い」「胸が痛い」と訴えてきます。子育て中だと忙しいこともあり、対応を後に回しがちですが、ちょっとした訴えを見逃さずに対応することをお勧めします。共働きだと自分の時間さえなく日々すぎていきます。お風呂、寝る前などちょっとした短時間に「今日はどうだった?」「保育園、楽しかった?」などの声かけをして、子どもの答えとその表情を見ていただくことが大切です。できれば、親と1対1で対応できると、お子さんの精神状態が安定しやすいと思います。子どもへの接し方 心の問題が大きくなってくると体がストレスに耐えられず、痛みなどの訴えとして症状が出てきます。ストレスから体に症状として出てくることを、お子さんもご両親も知っていることが大切です。痛みがあるからといって、痛み止めの薬を飲むだけでは痛みを繰り返すので、心の治療もする必要があります。まずはお子さんの話をしっかり聞き、体を休ませることが第一歩です。対応が遅くなると、回復するにも時間がかかり、将来、不登校や引きこもりへつながることもあります。こういった問題は家族内だけで対応しがちですが、専門家である医療機関からの客観的な評価を受けながら対応することで家族内の安定にもつながります。夫婦のバランスも大切で、パパとママ2人で対応してください。ママががんばりすぎて子どもの問題が非協力的なパパの問題にすり替わり、夫婦不和に発展しかねません。クリニックの相談例 4~5歳のお子さんが「おしっこの回数が多く、1時間に何回もトイレに行き困っている」というようなケースによく出会います。話を聞くと、運動会やお遊戯会の練習がきっかけになることも多く、まじめでがんばり屋さんに多く見られます。「また、トイレに行くの?」とは言わず、困ったことがないか聞き、係りなどを精一杯がんばっている場合は、その思いを受け止めていただくと軽快したりします。 また新学期が始まると、学校・クラス・担任の先生が変わることで、腹痛・胸痛などの訴えが出てきたりします。大人以上に子どもは変化に弱いものです。子どもを守ることができるのは親です。園や学校の先生と相談しながら子どものことを考えている、そうした親の姿はお子さんにとっては心強いものです。困った時の相談先 困ったら地域の保健師さん、かかりつけの小児科医などに相談をしてください。さらに困る場合は心療内科・精神科に相談しましょう。子どもは対応できないと言われるかもしれません。子どもの精神科を児童精神科といいます。山梨県では甲府市北新にある「こころの発達総合支援センター」に児童精神科医が在籍しております。しかし少ないスタッフで相談が多く、受診するまでに数ヵ月待ちになっているのが現状です。困っているお子さんやご両親がたくさんいらっしゃいます。症状が重いケースでは小児科医では対応できない場合も多く、当センターの拡充を強く希望しています。参考文献:日本小児心身医学会ホームページ http://www.jisinsin.jp/index.htm