ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年8月号 NO.195

ページ
4/56

このページは ちびっこぷれす Chibikko press 2015年8月号 NO.195 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2015年8月号 NO.195

4 以前からピッコロで使われている言葉に「揺れる」がある。子どもたちが「◯◯君、今揺れてるね」と使うのだ。嘘をつくことや人のせいにすること、悪いとわかっていながらやってしまったり、そんなことを総称して「心が揺れている」と言うのだ。子どもは自分で「僕は今少し揺れている」とか「あの子は揺れてない」がわかるのだ。内面を見ている。すごいことだと思う。 年長男児・太郎君はちびっこぷれすを毎月楽しみにしている。漢字は読めないので、親御さんが読んで聞かせている。毎月友だちの写真が掲載される。ただ中島のプロフィール写真だけは毎回同じものだ。彼はその現象を見て疑問に思った。中島はここで何をしているのか。それはそうだ。毎日保育をしている中島しか見ていない。それとこの誌面の関係性がわからなかったのだろう。自分の頭で考えている証拠でもある。 ある日、太郎君がお父さんに聞いた。「先生はこれで何をしようとしているのか」と。お父さんは洗濯を干している最中だった。「社会を変えようとしてんねん」と軽く言った。確かに私は、ピッコロの子どもたちだけの育ちを望んでいるわけではない。すべての子どもの幸せがないと、本当の意味でのピッコロの子どもたちの幸せはない。真の教育を追い求めることが社会を作っていくことだとも思っている。だから大げさのようだが、お父様の言ったことは間違いではない。その翌朝の話だ。 太郎君が登園。私が「おはよう」と言った。すると「先生は社会を変えるって言うけど変わってないよ」と言われた。ゲ、朝なのに。しかもそんな重い会話の覚悟はできてない。だが対応しないわけにもいかない。重要なことなのだ。彼は社会は変わってないと言う。しかし5歳児にまずは「社会」という言葉の意味がわかるとは思えない。だからまずはそこを確認したかった。中島「社会を変えるってどういうことなのかな」。彼は言った。「社会が変わること」。そう、同じ言葉を繰り返したのだ。なーんだ、やっぱり5歳児にわかるわけないよね!と思った。しかコラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也社会を変える第  回29