ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年6月号 NO.193

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2015年6月号 NO.193

5神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」をスタート。以来、森のようちえんの活動を実践し続けている幼児教育の専門家。自然の中で〝子どもたちが自分で考え、自分で決める?保育スタイルが注目を集める。現在は約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。のだ。年長児ひろちゃんも「豚肉とか食べてるでしょ。その時泣いちゃう」。年中児すばる君も「牛も泣くよ」と言った。私は「そうだね、みんなが食べる時 泣いているね」と、一言だけ言った。もし食肉の保育をするのなら、更にここで突っ込んで話をふらなくてはならない。しかし食肉の保 育を4月に取り上げるのはちょっと早いと私は感じた。子どもたちの心がまだそこまで育っていないからだ。卒 園までにはまだ1 年 間たっぷりある。次 回にしようと一瞬で決めた。 すると年 長 児れなちゃんが「チューリップも泣くよ」と言った。次に年 中 児あー君も「 命が 残ってるんだよ」と言った。ん?命が残っている? わからない。しかしなぜか大 事なことを言ったような気がして更に聞いた。私「え、命が 残っているの?」。あー君「うん、砂とか土に。だからまた生きるんだよ」。なるほど、この子は枯れても球根が翌年に花を咲かせるということを「土に命が残っている」と表現したのだ。ピッコロのチューリップは翌年のために命を残して枯れていく。ここでは普 段から命の話が出てくる。これが命に囲まれた森のようちえんのよさなのだと思う。大人にとってはとてもしんどいことだけれど…(笑)。 私はいつも思うのだ。ピッコロっ子はよくすごいことを言う。これは周りの大人の 影 響なのか、それとも子どもが 本 来持って生まれたものなのか。一応聞いてみた。「みんなはどうしてそんなことを知っているの 、お 母さんに 教わったのだよね」。カマをかける。するとこはく君が「わからないけどわかった」と言った。たお君も「わからないけどわかってる」と言ったのだ。私にはなぜかその時「誰に聞かなくても命のことはわかっている」と聞こえた。大人の影 響なら大 人はもっとビシッとしなければならないし、本来持って生まれたものならそれを壊さないようによっぽど気をつけなければならない。どちらにしても大変なことだ。子どもたちは森で毎日、命と向き合っている。私は果たして本当に今、そして今後も子どもたちの命を守れるのだろうか。平和はそんなに簡単に手に入れることはできないのだ。