ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年6月号 NO.193

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2015年6月号 NO.193

4 春、ピッコロに7名の新入園児が入ってきた、その3日目。お母さんがよかった新入園児たくちゃんは、この日お父さんが付き添いだったので泣いていた。私は泣いている子にこう言うことにしている。「泣きたい時には泣いてもいいのよ。自分で決めてね」と。私だって泣きたい時はある。泣くなと言われても泣いてしまうのが泣くということだ。しかもそもそも、この行為は他人である私が許可するしないということなのか。感情は自分のもの、誰にも裁かれてはならない。ただ朝の会で大事な話をしている時には他の子が聞こえないので「今は大事な話なので泣かないよ」と真剣に言う。泣きやむ子も多い。子どもは何でもわかっていると思う。 朝の会、私はたくちゃんと子どもたちの感情を自由にしてあげたくてわざと言った。「そうよ、大人だって誰だって泣いていいのよ」。すると子どもたちが次々発言した。年長児ちさと君「地球も泣くの?」。年中児たお君「木も泣くよ」。年中児こはく君「見たことあるよ」。げ、「泣きたい時には泣いていい」という話が、木が泣く話になっている。ちょっとドキドキしてきた。私「え、木はいつ泣くの?」。こはく君「誰かが切っちゃった時」。がーん。やっぱり、これは突然命の話になったということだ。新学期3日目、私にはまだその話になるだろう覚悟がない。参ったな。しかし朝の会では、どんどん命の話がつながっていく。「熊も泣くよ」。年長児ひろちゃん「生き物は嫌なことをされた時泣くよ」。年少児いしん君「幼虫も死なされた時泣くよ」。大事なことなのでフォローする。私「涙は出ないけど心で泣いているんだね」。その時、私もすでに泣きそうだった。子どもたちは普段ただ遊んでいるのではなかった。虫をいじりすぎて死んだ時、虫は泣いていると感じている。動物にも自分と同じ心がある。想像する力が養われているということだ。想像力がないと誰かを思いやることはできない。 生物が死ぬという話なので、食肉の話になったらどうしようと私は思っていた。どうかその話にはなりませんようにと願っていると、案の定だった。年長児なっちゃんが「豚とかも泣くよ」と言ったコラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也命が残っている第  回27