ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年4月号 NO.191

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ちびっこぷれす Chibikko press 2015年4月号 NO.191

34小児科Dr.宮本の連載コラム午後10時、クリニックにて…    ?おほしさまの先生からの子育て応援“談”!?宮本直彦(みやもと・なおひこ)小児科医。山梨市加納岩総合病院勤務などを経て2004年、昭和町で夜間や休日の小児救急にも対応する医院・げんきキッズクリニックを開業。2009年春、移転してリニューアル。クリニックと同じ敷地内に「げんき夢保育園」を開園。Vol.120 花粉症と風邪の見分け方 先月は、小・中・高の息子3人の卒業式に参加しました。それぞれの卒業式で学童期・思春期・青年期の成長を感じることができました。式の最中は入学式から在学中の色々な出来事を思い起こしながら、親としての関わりを振り返ることができました。最後のホームルームでは、家庭生活では見られない意外な子どもの姿を目にする機会にも恵まれました。子どもの節目の行事には、ご夫婦でご出席されることをお勧めします。 さて、毎年この時期は花粉症で悩まれる方がいると思います。昨年よりスギの飛散量は多く、うちでは私と小6の息子が花粉症で、目のかゆみ・鼻水・鼻づまりなどの症状に悩まされ薬を飲んでいます。今月は診察時よく質問のある「花粉症と風邪の見分け方」についてお話をします。花粉症とは アレルギー性鼻炎の一つで、体外から入ってきた花粉等の異物を体が防御するために起こり、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみ等の症状があります。花粉の代表はスギで2~4月に飛散します。5月まで症状がある方はヒノキの花粉の可能性があります。子どもの場合、0~1歳はあまり見られず、3~4歳から発症し始めます。風邪との見分け方 花粉症は花粉と接触して症状が出るため、花粉の飛散量によって症状が変わります。多い日は症状が強く、少ない日は症状が軽くなります。症状はスギ花粉が終わる4月まで続き、目のかゆみ・透明な水っぽい鼻水・くしゃみ・鼻づまりが特徴的です。特に目のかゆみがある場合は可能性が高いと思われます。咳はあまり出ません。 風邪の場合はウイルスなどが原因のため、多くが約1~2週間程度で落ち着きます。熱が出る時もあります。目のかゆみは出ません。 両者がわかりづらい時は薬の効きが参考になります。花粉症の薬が効くことで症状が楽になれば花粉症と考えられます。両親が花粉症であると子どもも花粉症になる可能性が高いので、家族の方が花粉症であるかも参考になります。初めて花粉症の症状が出てきた場合はすぐに診断がつきにくいこともあり、経過をみながら診断していきます。インフルエンザのように検査をするとわかると考えがちですが、スギの特異的IgE抗体では体質・感受性がわかる程度で、確定するまでの精度はありません。治療法 治療は薬と花粉回避の2本柱です。薬は飲み薬と点眼薬・点鼻薬があります。薬の種類は年々増え、副作用である眠気は少なくなってきています。合わせて服用回数も1日1~2回と少なくなり、飲みやすい味になっています。基本は飲み薬である抗ヒスタミン薬を内服します。症状の程度によって、点眼薬や点鼻薬を併用していきます。症状がひどくなる場合はさらに抗ロイコトリエン拮抗薬を追加する場合もあります。花粉症の症状を軽くするためには、治療薬とともに花粉を避けることも大切です。①飛散の多い時は外出を控える、窓や戸を閉める。②外出時にマスク・メガネを着用し、毛織物などのコートは避ける。③帰宅時、衣服や髪をよくはらって入室し、洗顔・うがいをし、鼻をかむ。④掃除を励行する。 以上を参考にしてください。子どもは外に出ないで生活することは不可能ですので、できることからやっていきましょう。アレルギー免疫療法が新登場! アレルギー免疫療法とは、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。従来の花粉症の薬である抗ヒスタミン薬は対処療法でしたが、昨年から発売された「シダトレン」という薬にはスギ花粉症の原因物質であるスギ花粉のエキスが入っており、舌にためて飲み込みます。体に花粉が異物でないことを学習させるために、2~3年位の長期間飲み続ける必要があります。対象者は12歳以上です。8割の人に効果があり、副作用としては口の中の腫れやかゆみが数%見られます。全身の副作用が起こる可能性は非常に低いため安全に行えます。さらに体質が変わることで、ぜんそくやアレルギー性鼻炎などの発症が抑えられる効果も期待できます。ウォン・ウティナンさんの裁判を支える署名と寄付について 署名1万3千筆、寄付金150万円達成しました。4月下旬に裁判が開始されます。経過はこのコラムにてご報告させていただきます。ご協力いただいた皆様に感謝致します。