ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年3月号 NO.190

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2015年3月号 NO.190

5白 樺3月になると白 樺の不 思 議な現象を見ることができます。幹に傷をつけると樹液があふれて出てくるのです。この樹液には、人 間にとって有 効な成 分・キシリトールが含まれています。白樺 樹 液は雪 解けの頃に出 始めて、不 思 議なことに新 緑が一枚出るとピタリと止まってしまうのです! 山 梨 県では3月ぐらいから、ピーク時には1日に1升 瓶 程 度の樹 液が出て、4月の初旬には出なくなります。た。ヨーイドン!と同時に走ったがその1年生、なにげなくだがわざと遅く走っている。私にはわかった。場をわきまえて本気で走らないのだ。すごいと思った。借り物競走終了。すると年長児K君が「言いたいことがある」と言ってきた。何が言いたいのかよくわからなかったが、ま、いいでしょう。年長児のことだから、きっとそんなに外れてはいないはずだ。K君にマイクを渡した。彼は1 0 0 人 近くの人々の前で堂々とこう話した。「Hちゃん(1年生)は遅く走った」。私はえ、そこ?と腰が抜けた。1年生が本気で走ってないことに気づく人は、私以外そんなにいないと思っていたからだ。そこに気づくということは、まずその1 年生の本気の速さを知っていなくてはならない。次に今日のその子の走る速さがおかしいと気づく必要がある。またその表情から、わざとだなとわかることも必要だ。しかも彼はこれを彼女(1年生)に確認もしていない。ここから先は大人ができないことだが、この小さい子が場をわきまえることができるのかもしれないと、そこを一瞬信じなくてはならない。そしてその子が場をわきまえられる子かどうかを知っている必 要もある。すべてのことにYesを出して、初めて「もしかして彼女はわざと遅く走ったのかもしれない」と思えるのだ。子どもたちは1 年生の彼女と何年も一緒に生活していたので、おそらくそのくらいわかるのだろう。しかし大人はどうだろう。どこまで子どもを理解しているのだろうか。1年生が場をわきまえるということを想像できない大人は“もしかして”さえも思いつかない。大人の想像力不足は子ども理解を妨げる。私も最初は「1年生が 場をわきまえることができるわけがない」と思っている大人だった。だが念のため本人に確認する。するとそのまさかがまさかなのだ。こんなことが子どもと生活する中で何千回あったことか。だから子どもを信じられるようになった。子どもは未熟でもなんでもない。教えてあげないとわからないという固定概念が崩れていった。 借り物競走は競 走だ。年 長 児 K 君は年少児が同じグループにいても、全力で走り1位を狙っていた。彼はわざと速く走らない1年生の姿を見て、さぞかし驚いたのだろう。そして驚いただけでなく、それが正しいと感じたのだと思う。だからマイクでみんなに話す必要があったのだ。正しいことは他の誰かに伝えないとね。この子のすべての判断力に私は驚き、感服し、そして目頭が熱くなった。 その後、私は1年生に聞いてみた。「K君がわざと遅く走ったことに気づいてくれてどう思った?」。すると彼女はんん~と考えて、「嬉しい」と言った。ここで培った深い信頼関係は揺るぎないと感じ、そこにいる彼らが少しうらやましいと思った。