ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年12月号 NO.187

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2014年12月号 NO.187

4 ピッコロには園長先生制度というものがある。基本的に保護者は保育はしないのだが、交代で1日園にいて保育を手伝ったり来客や郵便物の処理などをしてくれる。そこで自分の子や他の子が1ヵ月でどのくらい育ったかを見ることもできる。保育は見れば見る程わかってくる。そして自分の子も理解できてくると私は思う。 その園長先生が先日、全員分の柿を持ってきてくれた。一人一個を丸かじり。子どもたちは大喜びだった。すべて甘柿だったが、その中に一つだけなんと渋柿があったのだ。よくあることだ。かじったら渋かったのが年中男児のT君。しかし彼は「渋いからいらない」と言ってこない。その柿を黙々と食べている。渋柿だと知った園長先生は「食べなくていいよ」と3回神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」を開始。以来、森のようちえんの活動を実践し続ける幼児教育の専門家。自然の中で“子どもたちが自分で考え、自分で決める”保育スタイルが注目を集める。現在約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。www.mori-piccolo.jpTEL0551-46-2256コラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也愛と五感のメモ/五味愛美(五味五感企画)渋柿第21回も言った。しかし彼は食べることをやめようとしない。そして結局最後まで食べてしまったのだ。正直びっくりした。理由を聞くと「園長先生がかわいそうだから」と言った。気を使ったのだ。幼児の場合、言葉を正しく使えてない場合が多い。大人は言葉が100%なのだが、幼児は言葉半分だと私は思っている。この場合の「かわいそう」という言葉も、多分適正ではないと思う。せっかく持ってきてくれたのに申し訳ないとか、ありがたいとかそんなニュアンスかと思われる。幼児には翻訳が必要なのだ。彼は園長先生の好意を無にしたくなかった。せっかく朝、木からとって重いかごを車に乗せて子どもたちのために運んでくれた。この好意が想像できたのだと思う。想像力は思いやりを生むのだ。