ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年11月号 NO.186

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ちびっこぷれす Chibikko press 2014年11月号 NO.186

5己犠牲)という気を全く感じなかった。年長児として後輩に譲るという覚悟を私は感じたのだ。だからこれでいいと思った。多分誰かが半分あげると言っても、彼女は断っただろう。もしかしてそれは彼女の覚悟に対して失礼なことだったのかもしれない。それを子どもたちはわかっていた。その代わり、彼女の行為が人として尊いということを子どもたちに伝えなければと思った。なので私は「 Kちゃんを森の神様が見てたと思うよ」と言った。すると年中児のNちゃんが「あの子は優しい子だなぁって見てたと思う」と言った(ナイスフォロー!)。するとまた誰かが言った。「Kちゃんありがとう」。何を勘違いしたのか年 中 児が「なんでありがとうなの?」と言った。するとすかさず年 長 児 Wちゃんが毅然として言ったのだ。「Kちゃんのおかげでみんなが 一つずつ食べられるんだよ!」。同 時に年 長 児 K 君 、年 中 児 Rちゃんも同じことを言った。みんなわかっている( 泣 )。そしてみんなが口々に「ありがとう」とまた言った。私はこの時、もうほとんど泣きそうだった。食べたいけれどそれ以上に小さい子に譲りたい年長児がいる。その気持ちを十分わかっている集団があり、そこに感謝だけがある。しかもこれが幼児の集団なのだ。こんなに美しい光景があっていいのだろうか。目頭が熱くなった。 その日は森に行った。帰りは森から一人ずつ帰ることにした。私が一人ずつ指さして歩く人を決める。「も、り、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り、K君!」。1番目に森の神 様に選ばれたのは、本日の誕生児K君。2番目「も、り、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り!Kちゃん!」。私はKちゃんを指差した。そしてわざと言った。「あれ、どうしてKちゃんが2番目なのかな」。子どもたちはシーンとしてわからなかった。だが昼 食 時 、Kちゃん本 人が私にこう言ってきた。「わかった!私は柿を譲ったから2番目に呼ばれたんだ!」。私「そうかもね!」。彼女は嬉しそうに笑っていた。そしてわざと全員に聞こえるように言った。「 Kちゃんは柿を譲ったから今日2番目に呼ばれたらしいよ!」。彼女の行為が尊いことを更に子どもたちに伝えた。大 人がどれだけ深く心にそのことを刻めるかで保 育は変わると思う。恐ろしい仕事だ。 昼食時、今度は他の子どもたちの気持ちを知りたくなり、目の前にいた年 中児 A 君に聞いてみた。私「 Kちゃんが 柿を譲ってくれたでしょ。その時 、A 君はどんな気 持ちだったの?」。年 中 児なのでせいぜい「嬉しかった」くらいとしか言えないと思っていた。するとこう言ったのだ。「(柿を)譲ろうかと思ってた」。え!年中児が!そんなこと考えていたの! びっくりした。食べられてよかったと思っている子ばかりではなかった。もちろん幼 児なのでそう思う子がいてもいい。しかし自分だけが食べていいのだろうかと感じている子もたくさんいたのだ。みんなの 心が育っている。心は揺れて大きくなる。森の神様ありがとう。ウソ出 会 うと 嬉 しくなる 野 鳥です 。スズメ位の大きさで、少しぷっくりしています。雄は首の周りが桜 色をしていて、可 愛らしい和 菓 子のような鳥です。「ヒィッ、ヒィッ」と口笛のような鳴き声 。11月 頃になると、高 山から平野部に移動します。夫婦仲が極めてよいことが特 徴で、雄が雌に尽くしながら、つがいで協 力して子 育てをします。