ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年9月号 NO.184

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2014年9月号 NO.184

看護師の実習で初めて触れた〝死?。私を救ったのは、お産との出会いでした。苦しく辛そうだったお母さんの顔が、ぱっと笑顔になる瞬間に魅せられ続けてます。時は一旦トイレに籠もって好きな音楽をかけて、本なんかも読んで、気分が落ち着いてから出てくるんですよ。女の人ってすごい存在だなあといつも思います。母であり妻であり嫁であり女であり…。子育ての不安はあると思うけど、お母さんの直感を信じてまずやっていいと思う。そうしてやったことは、きっと間違ってないと思うから。51う思いはあったんだけど、とにかく成績が足りない。猛勉強です。私が質問攻めにするから、先生が目が合ったら逃げ出したこともあるぐらい。でもおかげで看護師専門学校に合格し、充実した3年間を送ることができました。お産の瞬間に魅せられて宮沢 そこからさらに学んで助産師になろうと思ったのはどうしてですか?井上 実習で初めて死を身近に感じて、そのあっけなさや亡くなった後の家族のつれなさがショックで実習に出れないほどになったんです。他にも精神科の慢性病棟に2泊3日で入院してみるという体験もして「生きるってなんだろう?」と考える日々でした。そんな中、産科で出産の瞬間を初めて体験しました。その時のお母さんの顔を今でも覚えています。苦しく険しかった顔が、すーっと優しい顔になって、それに魅せられてしまったんです。宮沢 助産師の仕事はどうでした?井上 これがまた大変でしたねえ。勤務先は実質助産師が一人だったので、365日24時間体制で年に153件の出産に立ち会いました。すごくいい経験になりました。でも、24歳で結婚して、育児との両立が難しいだろうと感じて一旦辞めました。それから2?3歳違いで3人の男の子が生まれて子育てに忙しい日々で…。宮沢 その後、山梨に移られたのはどうしてですか?井上 叔父の白州の古民家を受け継ぐことになり、2005年に移ってきたんです。そのうち、韮崎で新生児訪問をやらない?と声をかけていただいて。産後の数日しか見ない産科時代と訪問は別世界。病院での1週間の経験にどれだけママが縛られるかもわかり、反省点も多かったです。「寝不足で」というママの話を聞いたら、「病院がそうだったから」と、夜中も煌々と灯りをつけていたり、ミルクを産後すぐと同じ量の30ccしかあげていなかったり。宮沢 自宅を開放して「月マルシェ」も始められて。井上 小さな子がいるママって、何かと制約があって自由に動きづらいでしょう? 子連れでゆったりくつろげる場所を作りたかったんです。ママたちが得意なものを出店したり、委託販売したり。この活動は、助産師の学生時代に暮らした東北の支援にもつながっています。みつろうキャンドルにメッセージを書いていただき、現地の方と共に灯し追悼しています。夢は、海外でも助産師を!宮沢 フルタイムの助産師には戻らないんですか?今後の夢は?井上 今はこのライフスタイルがちょうどいい感じですね。今後も新生児訪問は続けていきたい。この仕事、笑顔で迎えてくれる人は少ないんですよ。疲れてたり困ってるママがほとんど。それが帰る時には笑顔で「ありがとう」って言ってくれる。人の表情が変わるこういう瞬間が私は好きなのかな。ほんとはダメなんだけど、つい時間をオーバーして話を聞いちゃいますね。NICORI(韮崎市民交流センター)でベビーマッサージもやっているので、ぜひそちらも息抜きに利用してほしいです。最近は北杜市高根の保健センターで話も聞いています。あと夢は、やっぱり世界に行きたい。子どもの頃の思いはまだ持っていて、子育てが一段落したら、助産師として海外に行きたいんです。宮沢 素敵! 将来と言わず、今すぐ行ってくださいよ。最後に子育て中の人へのエールをお願いできますか?井上 あなたのそばに助産師がいますよ、ということ。本当は24時間応えたい。だって、夜中こそ相談したいことが出てきますよね。あとは、がんばりすぎないで、ということかな。私自身、育児は失敗だらけ。でも子どもに感情で怒るのだけは嫌だから、そんな