ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年9月号 NO.184

概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2014年9月号 NO.184

4　昨年に引き続き、スペイン巡礼路（カミーノ）の旅に一人で来ている。カミーノは普通の巡礼路なのだが、すごいのだ。何がすごいのかというと、自分に必要なこと、探していることのサインが巡礼上にあるという。これを聞くと本当？と思うが、私は何度もそう思うことがあった。　ある日巡礼路を歩いていると、数m先に小太りのスペイン人のおじさんが歩いていた。私はゆっくりめ。おじさんもゆっくりめ。おのずとおじさんの後ろからついて行く形になった。しばらくするとおじさんが道の右側に寄って何かを見始めた。そこは暇な道だった。おじさんは暇つぶしに何かを観察し始めたと思った。おじさんが道に戻るタイミングで私が通りがかったので、何も言わない訳にはいかなかった。「何ですか」と言ったら、おじさんは「見てみな」と言った（こういう時はスペイン語なのによくわかる）。私は社交辞令でそれを見た。するとそこには、根元に英語で説明が書かれた祈念樹があった。〈2013年にこの道で亡くなった方の祈念樹〉。ガビーン、重すぎ…。私は手を合わせた。気持ちが沈みながら道に神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」を開始。以来、森のようちえんの活動を実践し続ける幼児教育の専門家。自然の中で“子どもたちが自分で考え、自分で決める”保育スタイルが注目を集める。現在約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。 www.mori-piccolo.jp／TEL0551-46-2256コラム／中島久美子　写真／砺波周平　デザイン／若岡伸也愛と五感のメモ／五味愛美（五味五感企画）探しもの第18回