ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年5月号 NO.180

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2014年5月号 NO.180

5ツバメツバメは子 育ての場を人の近くにすることを選んだ非 常に珍しい鳥です 。普 通 、鳥は人を怖がるものです。自 然 界は弱肉強食の世界。生き物は生きるために様々な工夫を繰り返してきました。ツバメはあえて強 者である人の空 間に、大切な子孫を育てる場を作ることを選択しました。外敵(ヘビやイタチなど)から子を守りやすいと考えたからでしょう。ですから、人 通りのある建 物に巣作りをします。ツバメが巣を作ると縁 起がいいと言 われているんですよ。葉で巣立ちの言葉を話した。リハーサルと同じことを言うのかと思ったら、なんと全員当日は違うことを話したのだ。普通幼児の卒園式では、大人が考えた台詞が決まっていたりする。幼児は自分で内容を考え話せる。私は心が震えすぎて涙も出なかった。 最初に話したのがK君「いつも色んなことしてくれてありがとう。本当はピッコロにいたいけど、学校に行くから…また今度来ます」。A君「いつもお母さんがお弁当とか送り迎えとか色々してくれて…自分たちは何もできないのにそれでいいって言ってくれるのが…ありがとう」。S 君「ピッコロのみんなとはもう会えないかもしれないけど、お祭り(ピッコロ祭り)の時とかそういう時はあるけど、学校には行かなきゃいけないから行く」。H君「いつもお迎えもお弁当もしてくれたり…だけど今度自分でやってみようと思う」。D君「お母さんのおいしいお弁当はもう食べれないけど…学校には行かないといけないから…お弁当は食べれない。いつも送り迎えとかしてくれてありがとう」。K君「ピッコロではまだ遊びたいのだけど…学校には行かなくちゃいけないから行く。でもこの思い出を忘れない」。Kちゃん「いっつもピッコロで食べれるお母さんが作ったお弁当は学校行ったら食べれないけど、いつか学校でも弁当は食べれる日もあるからちょっとだけ嬉しいって思う」。Hちゃん「みんなと一 緒に遊んでた時に色々みんなとしゃべってたけど、学校ではみんなと遊べないけど、学校には行かないといけないから…ちょっとだけ楽しい」。Sちゃん「ピッコロでみんなともっといっぱい遊びたいけど、学 校 に行かないといけないから、がんばって行くようにする」。Yちゃん「ママが作ったお 弁 当はもう食 べれないけど、ちょっとだけ食べれるからいい。パパが働いてくれてピッコロに入れて嬉しい」。 こんな言葉が幼児の口から出てくるのだ。全員違う内容だった。真似はしていない。自分の心の声だと思った。幼児は何も考えられないと思っている大人は多いと思う。しかし私の短い説明で、自分の気持ちをこんなにリアルに表現できた。しかも言葉をかみしめて絞り出すように静かに話していたのだ。あの間を保てる力にも驚いた。そして中には話しながら泣いている子もいた。私はこれを聞いて、本当に心も体も動けなかった。感動したを通り越して幼児の可能性が怖くなっていた。3年間「今の気持ちはどうなの」と問い続け、子どもが自分の心の内を見るような保育をしてきた。彼らは当日も自分の心を見ていたに違いない。その心からの言葉と何を言っても訂正されないというこの場への信頼感で、子どもたちは素晴らしい自分だけの巣立ちの言葉を話したのだ。もう大丈夫。最後の日にきてやっと安心できた。ハラハラさせられた年長さん、卒園本当におめでとう。