ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年4月号 NO.179
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ちびっこぷれす Chibikko press 2014年4月号 NO.179
5テントウムシ暖かくなると、テントウムシが冬 眠から目を覚まします。テントウムシは「 天 道 虫 」という名の通り、てっぺんを目 指して歩きます。てっぺんに着いたら、その隣のてっぺんを目指します。4 月はテントウムシの産 卵のシーズン。テントウムシの赤ちゃんはアブラムシをたくさん食べてくれます。大食漢なので、アブラムシがたくさん 付いてしまった植 物にテントウムシの赤ちゃんを放すと全 部 食べてくれるんですよ。 私「え、R君危ないの?」。子「うん」。すると誕生児のやえちゃんが「私の誕生日だから今日から練習すれば」と言った。やえちゃんナイス、と思ったら突然やえちゃんが 立ち上がり、丸く座っている子どもたちの真ん中へ歩き出した。え、何するの?と思っていると、対角線 上に座っていたR君の前まで行き、正面で止まった。へ?と思った瞬 間に、やえちゃんが静かにR君の両手を持った。そして彼を立たせたのだ。練習しようねということだ。いつもは立たないR君が、魔法にかかったようにすっと立ちあがった。息が止まった。その場がものすごく静かで、違う世界にいるようだった。すると子どもたちが急に応援し始めたのだ。「 R君がんばれ!R君がんばれ!!」。手拍子も付いた。すると誰かが「そんなに大きな声で応援したら(R君が 話した時に)聞こえないよ」と言った。すると瞬間に全員小声に変わった。しかし応 援はやめなかった。それでも彼は恥ずかしかったのか言えなかった。すると次に子どもたちは、体育会系ののりで応援し始めた。「R!がんばれーーー!!!」。イケイケの応援だ。すると彼らのその想いを受けたのか、いつも言えなかったR君が 小さな声で言ったのだ。「やえちゃんが 遊んでいるところ」。えーーー!( 泣 )そのとたんに大歓声と拍手がわき起こった。「やったーーー!!!!」。2歳児のゆいちゃんまでも「 R 君すごい」と評 価した。R 君はポーカーフェイスの子だった。しかし嬉しすぎて口元がすでにゆるんでしまっている。ものすごく嬉しかったのだと思う。すると年 長 児 のけん君が 言ったのだ。「 R 君 、よくがんばったね」。一瞬私の心が止まってしまった。幼児が幼児を認めている。「 R 君すごい 」と「 R 君よくがんばったね」は、似ているようで大きく違う。気持ちをわかってくれたということなのだ。けん君はこの1 年 間とてもがんばり、辛いこともたくさんあった。だからR君の気持ちがわかるのか。その彼が言った言葉に、私は涙をこらえるのが精一杯だった。なんて優しく深い言 葉なのだろう。人は楽しいことも辛いことも色々あって優しくなっていく。心は揺れないと大きくならないのだ。 子どもたちはこの 先 、生きていれば「 言わなきゃいけないんだ!」という批 判の言 葉を多くの人から受けるだろう。だがたった一 人でいい、「よくがんばったね」と言ってくれる存 在がこの世のどこかにもしいたら、人は一生前を向いて生きていけるのではないかと私は思う。どうかそれが、一番身近なお父さんやお母さんでありますように。