ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2014年2月号 NO.177

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2014年2月号 NO.177

4 その日は保護者の会議があり、森に行く途中に保護者の車が停まっていた。すると中から泣き声がした。のぞくと在園児の弟君(2歳)がチャイルドシートで泣いていた。寝ている赤ちゃんを起こすのはかわいそうと、お母さんが車内に置いていったのだ。停車場所は起きれば聞こえる所だったので、そのまま会議に出た。車の周りに子どもたちがはりついた。すると次の瞬間にはるひと君(年長児)が「呼んでくる!」と母親を呼びに行ったのだ。はるひと君は気がきくなぁと思った。大人の指示はない。けれど解決策がわかる。そしてそれを大人に聞かずに行動に移せる。自分で考えて自分で決める子だ。こんな子に育ってほしいと思った。しかし他の子は一人残らず車の周りでた神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」を開始。以来、森のようちえんの活動を実践し続ける幼児教育の専門家。自然の中で“子どもたちが自分で考え、自分で決める”保育スタイルが注目を集める。現在約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。www.mori-piccolo.jpTEL0551-46-2256コラム/中島久美子 写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也愛と五感のメモ/五味愛美(五味五感企画)少し待つ第11回だ立っていた。はるひと君を待っているようにも見えた。この子たちもいつかははるひと君のように母親を呼びに行ける子になるのだろうか。しかしそれを今、言葉で保育するのは違う。これからのピッコロの生活でそんな子に育てていくのだ。私は黙って流すことにした。 しばらくして赤ちゃんのお母さんが園舎から走ってきた。「ごめんごめん、みんなありがとう」と泣いている赤ちゃんを抱っこした。子どもたちは胸をなで下ろした。「あ~、よかった」。やっと森に行けると思ったら健君(年長児)が言ったのだ。「心配で動けなかった」。周りにいた子どもたちも「うん」「うん」と頷いた。え…!ただぼぉっと立っていた訳ではなかったの!赤ちゃんに心を寄せていたのか! 起き