ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年10月号 NO.173

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ちびっこぷれす Chibikko press 2013年10月号 NO.173

4 20代の頃、多摩市の幼稚園で3歳児19人を一人で受け持っていた。冬の寒い日だった。男の子2人が室内で取っ組み合いのケンカを始めた。私はケンカの現場とストーブの間に立ち、そのケンカの様子をうかがっていた。すると廊下に園長先生が通りがかり大目玉。「見ているなんて何ごとか!!」。 その頃、私にはわからないことがあった。3歳児といえどもケンカの時にはものすごい顔をする。怒りに満ちた表情は子どもながらに迫力がある。疑問というのは、もしその怒りを私が押さえた場合、それはどこに行くのかということだ。水蒸気のように蒸発してしまえばそれでいい。しかしどうしてもそんな風には思えなかった。もしそれが子どものどこかに深く厚く積もっていたらどうなるのか。とても好ましいことだとは思えない。だから怒りは出した方がいい。ケガをしないように目の前で見ていればいい。そう判断し、がんばって見ていたのだ。その時、園長先生に理由を聞ける余裕はなかった。ケンカは止めるものという既成概念からか、ケガをしては困るという保身なのか、教育的理由があったなら聞けばよかったと今になって思う。 私は子どもたちに伝えているわけではないが、自分の中ではケンカへの関わり方を決めている。①武器使用のケンカはダメ。②大勢対一人はダメ。③片方がもうやめたいと言ったらやめる。この3つだ。先日も男子が大人の目の前で本気?と思う程の戦いごっこをしていた。蹴りが入る。パンチも入る。かなり痛そうだ。しかし顔は怒っていない。後から神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」をスタート。以来、森のようちえんの活動を実践し続ける幼児教育の専門家。自然の中で“子どもたちが自分で考え、自分で決める”保育スタイルが注目を集める。現在約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。(www.mori-piccolo.jpTEL0551-46-2256) コラム/中島久美子写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也愛と五感のメモ/五味愛美(五味五感企画)子どもはAKU(あく)だ第7回