ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年10月号 NO.173

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2013年10月号 NO.173

15事をしているようなものなんですけどね…。親とか教師って、その繰り返しなのかもしれません。編 松崎さんが「いい絵だなぁ」と思う子どもの絵ってどんな絵ですか?松崎 子どもたちの思いが伝わって、その子を愛おしいと思う時、その絵はいい絵だなと感じます。子どもたちは全身全霊で描きます。以前、子どもたちが描いた絵を大人の芸術家の絵と並べて美術館に展示する機会がありましたが、決してひけをとらないと思いました。制作を通して自分を見つめる編 明野子ども美術館では、木工作や絵画、身体表現など、様々な活動をしていますが、例えば木工作で制作するものってどうやって決めるんですか?松崎 ここでは作りたいものを作ることにしています。そう言うと親御さんの方が戸惑うことが多いのですが、例えば子どもが作りたいと言ったペン立てなら、それを描いてもらって、こちらはその子の絵の雰囲気を生かした設計図を描いて、FAX や手紙で事前にやりとりします。とが子どもに与えるメリットって?松崎 制作を通して自分を見つめられること、それによってその子のこれからの芯となる感性や知性が育つことだと思います。自然を土台にしながら楽しく制作したり学ぶことが大事だと思っています。編 「秋を描こう」など、自然の中で感じたことを表現する活動もしていますね。松崎 現代は経済性の文化、パソコンの中の文化がもてはやされるけど、子どもたちは具体的なものと関わっていった方がいい。子どもの成長には、自然を通して自分とむき合うことが必要だと思うんです。日本には自然を美術や文学に取り込んできた文化があります。自然の美しさとやさしさ、あるいは不思議さを感じながら芸術的な表現をすることは、自分を作っていく過程ですごく重要なことだと思う。そして小さい時にそうやってきた記憶は、大人になってからも心の奥底を支えてくれるんじゃないかなって思っているんです。編 キットがあるわけじゃないんですね。松崎 一人ひとりの子どもたちから、全く違うものが出てくるので、それを大事に作っていくことが大切だと思う。そうすると、どんなに面倒でも「絶対自分でやる!」と言う子もいるし、時間も限られているので「こんなふうに変えよう」と言う子もいる。どちらにせよ子どもが自分で決めることが大事。編 そこで伝えたいことって?松崎 失敗したらダメなのではなく、今まで気づかなかったことを知るチャンスと捉えてほしいです。失敗したところから計画を練り直すと、より素敵なものになることが多いのです。それから木工作をやっていて思うのは、子どもが本当にやりたいことをやっていて、「こうしたいんだけど、どうすればいいの?」と悩む時がありますよね。それを大人がよく見ていて、決して押し付けじゃないピッタリしたアドバイスをすると、子どもはグーンと伸びるんです。そしてその大人を信用してくれる。この成長って、絵や制作以外にも通じることじゃないかな。編 表現する場所が身近にある。そのこ年に数回行われる木工作。計画しているうちにどんどんアイディアが出てきて、こんな形に。満足するまでやりきって完成。毎年9月、宮沢賢治のお話をテーマにした劇を子どもたちが上演する「賢治祭」。この日のために子どもたちは、賢治の作品を読み、その絵を描いたり、歌や詩を作ったり…。子どもなりにその作品世界を理解し、思いを演技に託します。子どもが絵に込めた思いを聞いてあげるところから表現が始まる【明野子ども美術館】北杜市明野町浅尾新田385 /TEL0551-25-5340