ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172

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ちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172

51「自分に合う生き方」を目指してそれを実現できる可能性が農業にはあります。サラリーマンには戻れないですね。※電子書籍版のメイン写真をタップすると、インタビュー時の動画を見ることができます。ね(笑)。宮沢 山梨特有ですよね。結局みんなつながっているって。都会ではこうはいかないですからね。横森 農家になって、人間関係が豊かになりましたね。これはある程度時間が自由になるからできるんですけど。農業というと、朝が早くて、汚れて、収入は安定しなくてっていうイメージがあると思うんだけど、サラリーマンの時より年収は多いし、「自分に一番合う生き方」を目指して、それを実現できる可能性が十分ある。もうサラリーマンには戻れないですね。お客さんに喜んでもらえる宮沢 でもこの数の房を見た時、作業は相当に大変だなって思いました。横森 剪定から、土の管理、消毒、つぶ抜き、ジベ処理、傘かけ、収穫まで、そりゃ大変ですよ。心が折れそうになる時もあるけど、僕は「おいしくなれよ」ってブドウに声をかけながら作業をしています。ブドウや土とむき合っていると、自然と共存している、自然に癒されているっていう感じがします。もちろん思い通りにならない部分もたくさんありますけどね。一番嬉しいのは、お客さんに喜んでもらえることです。ウチのブドウの箱には「あかぶぞう」というキャラクターがついているんだけど、お客さんに、子どもとその箱が一緒に写った写真をフェイスブックにアップしてもらったり、陸前高田に山梨のおみやげにブドウを持って行ったら、お礼のメールをいただいたりしました。僕は、ブドウを食べてくれた人に喜んでもらうために仕事をしているんだと思います。おいしかったよって言ってもらうと、お金なんかどっちでもいいからって感じになっちゃうんですね。本当は儲けなきゃいけないんだけど(笑)。宮沢 作業は孤独だけど、師匠も就農した仲間も、お客さんもいるし、ブドウを通じてたくさんの人とつながっているんですね。とっても豊かな生き方だと思います。横森 震災後から、そういう価値観を持つ人が増えてきたようです。田舎暮らしに憧れる声をよく聞くようになりました。北杜市に「のらごころ」っていう若手農家が集まってできたグループがあります。本当は歳をとってから田舎暮らしをしたかったんだけど、ちょっと前のめりで始めちゃったっていう。地域の新しい農業の形を作ろうと、みんなで協力してがんばっています。宮沢 将来の夢は?横森 ワイナリーを作りたいですね。酒造免許も設備も、税金関係の書類もクリアしなきゃいけないので、ハードルは高いですけど。宮沢 すてき! 応援します。一人では難しいけど、みんなでやればきっと実現しますよね。横森 そうですね。穂坂にワイナリーはないので、できればいいですね。景色のいい所に建てて、お客さんにも来てもらうようにして。宮沢 ワイナリーがあるとイメージがぐっとよくなりますよね。若い人も集まりやすくなるし。そんな、夢と誇りを持ってブドウを育てている横森さんから、子育てをしている親にエールをいただきたいです。横森 そうですね。ストレスがたまったり辛いことや大変なことがあるかもしれないけど、そんな時は一度農園に来て作業をしてもらったらいいかな。自然にふれることで、癒されると思うんですよ。ブドウ作りにも色んな過程があって、その一つひとつが大事だってことが体感できたら、何か、その人なりに感じてもらえるんじゃないかな?宮沢 もしかして、ブドウ作りって子育てに似ている?横森 似ていると思いますよ。僕、ブドウは自分の子どもだと思って育てています。袋をかけてあるので「袋入り娘」ですね。宮沢 どこに嫁にやっても恥ずかしくないように育てているんですね。横森 本当にその通りです。ブドウを大事に育てれば、そのブドウが僕の思いを伝えてくれると思っています。