ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172

ページ
4/56

このページは ちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172

4 夏休みを利用して3週間、スペインのサンチャゴ巡礼の旅へ出かけてきた。日本で言う四国お遍路巡礼のようなものだ。バックパックを背負って歩く。アルベルゲという宿坊のような施設に泊りながら巡礼を続ける。毎日10km近くを一人で歩く時、自分は何を思うのかを知りたかった。そして自分の足だけで長旅がしてみたかった。バックパックの旅はアラスカ以来だが、さすがに重い。テントこそ入っていないものの10kg以上は確実にある。この荷物を背負ってピレネー山を越えた。まず肩にバックパックがくいこみ痛い。肩の負担を減らすため腰ベルトを締めると、腰骨に当たりアザができた。登る太ももの筋肉がつる。背中も汗でベタベタ。まるで部活動の夏合宿のようだ。痛くて嫌だ。背中の汗を乾かしたい。日焼け止めも塗りたい。そう思いながら歩く時「何で来てしまったのだろう」とさえ思った(笑)。しかし歩き始めて3日目、いつもと同じように歩いていると突然思ったのだ。肩も腰も痛いのは仕方がない。歩いているのだから筋肉も痛いのは当たり前。汗もそのうち乾くし、日焼けはここに来た時点であきらめる。なぜかそう思えた。今の自分の悪条件をすべて受け入れたのだ。するとそれだけで不思議なことに力が入ってきた。私の足と芯が強くなったような気がした。そうか、すべてを受け入れるとはこういうことなのか。何かを避けようとしていた時の自分と明らかに違っていた。それからは歩きが楽になった。神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」をスタート。以来、森のようちえんの活動を実践し続けている幼児教育の専門家。自然の中で、“子どもたちが自分で考え、自分で決める”保育スタイルが注目を集める。現在は約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。コラム/中島久美子写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也愛と五感のメモ/五味愛美(五味五感企画)受け入れるという強さ第6回