ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2013年9月号 NO.172

18 初めての子を妊娠していた時、私は仙台の助産院に勤める助産師でした。そして2011年3月11日、臨月の時に自宅アパートで東日本大震災に遭いました。幸いアパートの建物は無事で、電気とガスは止まりましたが、水は出ていました。節約のために時々しかつけないラジオからは「200 ?300の遺体が…」などと流れてきましたが、災害の全体像はわからず、「一体なぜ?」という感じでした。緊張からか、その晩お腹がひどく張ってきました。同僚とは連絡がとれず、私は「もしかしたら自宅で産むかも」と、覚悟をしました。お腹の赤ちゃんはとても元気で、胎動がある度に、それが私を励ましてくれているように感じていました。不思議ですがあんな状況でも、「命があればやっていける」と、強い気持ちでいられたんです。その夜に見た星空はとても美しく、そこからも何かをもらって、私自身の生命力が高まっていたように思います。 そのうちに助産師仲間とも連絡がとれましたが、助産院はとてもお産ができる状況ではありません。私はずっと「まだ生まれないでね」と話しかけていました。周りの人たちがお腹の大きい私を見て、いつも声をかけてくれるのを、とても嬉しく感じていました。そして4月1日、助産院でお産ができる状況になったのを待っていたかのように、娘が生まれました。すぐに抱っこした時、ものすごい幸福感に満たされたのを思い出します。 それが私のお産体験。10月にパパの転勤で山梨に引っ越すまで、怒濤のような半年間でした。だけどあの時に娘を出産したことが、震災後の大変な時代を生きていく原動力になっているのだと感じています。文恵ママりお(2歳) 3月11 日、胎動が私を励ましてくれた