ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年8月号 NO.171

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ちびっこぷれす  Chibikko press 2013年8月号 NO.171

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ちびっこぷれす Chibikko press 2013年8月号 NO.171

21五緒川津平太さん、甲州弁と子育てを語る。いいさよー。甲州弁で子育て! ウチの嫁さんは鎌倉出身です。と言うとお嬢様育ちかと誤解されるので、「でも生まれたのは川崎」とつけ加えることにしている。それでバランスがとれて実像に近づく。でも面倒くさいので最近は間をとって「横浜出身です」と言っている。そんな京浜方面出身の彼女が山梨に来た頃のこと。 いきなり実家のある八田村だとショックが大きいと思い、最初は甲府の千塚のアパートで暮らした。しかし甲府だって山梨県、引っ越して早々こんなことがあった。 「私、子どもを虐待してるって思われてる」と彼女が言うのだ。わけを聞いてみると、連れていた2歳の息子のほっぺのひっかき傷を見て、隣の奥さんが「やあだよう、かじっとぉけ?」と言ったというのだ。「『私、かじってなんかいません!』ってムキになって言っちゃった」。おわかりだろうか。隣の奥さんは「頬を子どもが自分でひっかいたの?」と尋ねたのを、彼女は「頬をあなたがガブッと噛んだの?」と言われたと勘違いしたのだ。甲州弁の基本である。山梨ではひっかくことを「かじる」と言うのだ。 そして、2人目の子どもがお腹にいる時のこと。「隣のおじさんに『ぼこが出ただね』って言われたの。まだ出てないってことはこのお腹を見ればわかるのに、何でそう言うのかな」。さらに「それにしても『ぼこが出た』ってずいぶん直接的な表現だよね。びっくりしちゃった」と言う。甲州弁の基本その2。山梨では「でる」と「できる」の意味が逆に使われたり、ごっちゃになったりするのだ。つまりこのおっちゃんは「赤ちゃんができたんだね」と祝福してくれていたのである。彼女が思ったように「赤ちゃんを分娩したんだね」という意味のことを言ったのでは決してない。 そんな彼女も今ではすっかり地元に溶け込んでしまい、先日などは「あーえらい。腰っぽねが痛い」と言っていた。いいんだか悪いんだか。五緒川津平太(ごっちょがわ・つっぺえた)1958年八田村(現・南アルプス市)生まれ。2009年「キャン・ユー・スピーク甲州弁?」を自費出版し、山梨県人に自信と勇気を与える。その続編「キャン・ユー・スピーク甲州弁?②」が今年7月に発行された。