ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年7月号 NO.170
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ちびっこぷれす Chibikko press 2013年7月号 NO.170
32「育てる」おもしろさ この連載の初回、2か月の息子の私に対する反応が薄くて落ち込んだという話を書いた。なんと未熟者だったことかと最近になって思う。その時は母乳が足りているのかとか、他のことも悶々と考えていたからではあるが。息子に感謝や反応を期待していたのか、私は。 10年近く動物に関わるボランティア活動をしているが、彼らから感謝されることなど望んだことはない。助けた犬がアクシデントから救ってくれたというような恩返し的なことも全く期待していない。関わった犬猫が、自分の手元あるいは新しい飼い主さんの元で幸せに暮らしてくれれば、それで十分。だから新しい家で自分のことなど忘れてくれてかまわないし、例えば保護した猫を病院に連れていく時、手を掻きむしられて血だらけになったり、その猫に「覚えてろ?」などと思われたりしても、その後、その子が元気に楽しく暮らしてくれれば、それでよい。 同じような活動をしている仲間の中には、虐待を受け、ガリガリに痩せて山中の木に吊るされたまま放置されていた犬を引き取り、その子に何針も縫うほどかみつかれても、家の中でおしっこ・うんちをし放題されても、「元気になってきた」と喜びながら面倒を見続けている人もいる。自分の手元で安心して幸せに暮らしてほしいという思いだけだ。 もちろん関わった動物が何の反応も示さないわけはない。手元に引き取って育てた猫たちは特に、私を好きで、信頼しているという態度を十分に示してくれる。言葉が通じず、種類が違う動物同士が仲良くなれるとは、こんなに楽しいことかと思う。 だから、やっぱり子育ては楽しいことだと思える。成長を見せてくれるだけで、まず嬉しい。それなのに生まれて数ヵ月すれば「お母さん好き好き光線」を毎日出してくれ、言葉を話し出せば「好き」だの「ありがとう」だの言ってくれる。手紙や絵をかいてくれたりしたら、たぶん泣く。動物にしても人間にしても「育てる」ことは時間もエネルギーも相当必要だけれど、何とも面白いものだ。やっぱり子育ては面白いものなのだなぁと思う。それは犬猫を育てている経験を振り返ってみて、改めて思うことかもしれない。