ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2013年6月号 NO.169

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2013年6月号 NO.169

4 森のようちえんピッコロは毎日弁当だ。今日はあっ君(5歳)が箸を忘れた。隣りのあいちゃん(5歳)が自分の箸を貸そうとした。箸にはピンクのウサギが描いてあった。男子にとっては恥ずかしかったのだろう。あっ君は黙ってあいちゃんと反対方向に座り直した。「ピンクのウサギは嫌」とは言わない。さりげないNO、すごい心配りだ。あいちゃんはそれを見て黙って箸をしまった。使いたくない旨を察知したのだ。長年連れ添った夫婦のようだ。言葉はいらなかった。幸いあっ君のおかずは全部枝豆など手で食べられるものだった。あいちゃんも弁当を食べ始めた。プチトマトは手で食べた。おにぎりも手で。千切り野菜サラダも手で。え? 炒め物、これも手づかみ! 私はこの辺からもしかして?と思い始めた。あっ君に貸すためにわざと箸を使わない? まさか。しかしこんな時、大人としては迷うのだ。目の前に手で炒め物を食べている子がいる。箸で食べましょうと指導したくなる。しかしこの場合、その言葉を言ってはいけないような気がした。私は我慢してもう少し見守ることにした。 そのうちあっ君がおかずを食べ終えた。すると言ったのだ。「箸がないからご飯が食べられない」。するとあいちゃんはどうしたかというと、箸を箸箱から出したり入れたりし始めたのだ。無言のアピール。ドキドキした。私「あっ君お箸どうする?」。先程断ったのに「あいちゃんに借りたい」と言った。あいちゃんは箸を手渡した。そして何ごともなかったように再び二人は食べ始めたのだ。大人のみなさま、この場をどう見ますか。「彼女は箸を貸し神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」をスタート。以来、森のようちえんの活動を実践し続けている幼児教育の専門家。自然の中で、“子どもたちが自分で考え、自分で決める”保育スタイルが注目を集める。現在は約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。コラム/中島久美子写真/砺波周平 デザイン/若岡伸也愛と五感のメモ/五味愛美(五味五感企画)思いやりの芽第3回