ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年6月号 NO.193

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ちびっこぷれす Chibikko press 2015年6月号 NO.193

17きる。逆に面白がって新しいことにチャレンジしたりする。また群れの中で育っていれば、人を頼ることも上手にできる。これが一番大きいかな。人は結局、一人では生きてはいけない生き物なので。人格は10 歳で決まる編 坂本さんは「10 歳で子育て終了」とよくおっしゃいますね。坂本 子どもは10 歳で大体の人格を決めます。基本的にはその人格でその後の人生を生きていく。だから9歳くらいの子はすごい勢いで大人を観察して、そして批判します。その批判って、結構大人の痛いところを的確に突いてくる(笑)。編 その時、パパはどんなふうに接したらいいですか?坂本 その批判が当たっていたら「あぁ、そうだね」と、大人が改めればいい。そこを「なんだその言い方は!」と押さえつけると、やがて来る反抗期にむけて親子の仁義なき戦いが始まります。不良少年の多くは、9歳くらいで一度大きなことをやらかしてますよ。編 「10 歳で子育て終了」は、子どもにも伝えた方がいいんですか?坂本 言いましょう。「あと君に足りないのは経済的なことと知識と経験だけど、経済面は20 歳くらいまでサポートします。知識と経験はがんばって積み重ねていってね。もちろんサポートするよ。君が大好きだからね」ってね。編 もう対等ってことですね。坂本 元々対等なんです。大人はその知識や経験をもとに、彼らの発達をサポートさせていただいてる。その代わり色々なものをもらってるはずですよ。編 10 歳以降、特に女の子にパパが嫌われないようにするにはどうしたら?坂本 5歳くらいでたくさん遊んでいると嫌われない。思春期に関係が悪くなったとしても、きっと修復できます。魚釣りした時に隣にいてくれたとか、迎えに来てくれて自転車の後ろに乗ったとか、体のぬくもりが伝わる経験が一番。その時にパパの匂いをかいでいると、それはずっと残ります。思春期の「パパ臭い!」っていうのはなくなるかもね。ホントはパパを尊敬したい編 子育て全体を通して、パパはどんなふうに子どもに接すればいいですか?坂本 その子の脳が喜ぶことがある。私は「神様から与えられた課題」って言ってますが、その子が求めるテーマがやがて出てくる。それをサポートしてほしい。編 そのテーマは一人ひとり違う?坂本 違います。それを刺激するために情報提供するのはOK。歌が好きな子にピアノを勧めるとかね。でも強制はダメ。編 パパがやってしまいがちなことで、やってはいけないことは?坂本 大人の課題を子どもに押しつけることですね。自分の収入に満足できないから、子どもに一流企業に入ってほしいとか。子どもには子どもの課題があるので、自分の課題は残りの人生をかけて自分で解決してほしいです。大人もまた、脳を活性化させるような生き方をしてはどうでしょう。つまり日々ドキドキワクワクして適度にドーパミンを出し、また愛し愛され笑い合ってセロトニンを出す。そうやって免疫機能も高めながら、ハッピーに生活することを心がける。編 パパたちも成長できる?坂本 4歳児のようにはできませんけどね。でも親が成長してくれることは、子どもにとっては嬉しいことなんです。なぜだかわからないけど、特に父親が尊敬できる存在だと子どもは嬉しい。だけど彼らは、パパの給料が多いからってさほど尊敬してはくれません。それよりお散歩の帰りにゴミを一つ拾ってくるとか、電車で席を譲るとかの方が大事。編 そいういう姿を見せれば、しつけなんていらない?坂本 口に出さずにやればいいんですよ。子どもはちゃんと見ていますから。編 ところで「イクメン」って言葉、どう思います?坂本 わざわざ言わなきゃいけない社会っていうのは恥ずかしい。でも言うことで社会が変わるのであれば、もちろん応援したいです。今は高度経済成長期の価値観が崩れてきた転換期なのでしょう。働くパパたちにとっては、すごく大変な時代だと思います。でもそこで試行錯誤しながら、どんな働き方を次世代に伝えていくのか、どんな生き方をするのか…。その悩んでいる姿、努力している姿を子どもたちに見せるのも、パパの重要な役割だと思うんです。子育ては10 歳で終了を目指しましょう。親の課題を子どもに押しつけてはダメ。子どもの育ちには、自然・群れ・遊びの3つが重要…。各地で子育てに関する講演を行い、数々の名言でママたちに“目からウロコ”の話題を提供してきた精神科医・坂本玲子さん。今回は「パパの子育て」をテーマにお話をうかがいました。イクメンパパにも、そうじゃないパパにも、そしてすべてのママたちにも贈るメッセージです。坂本玲子さん“ 勇気づけの心理学” と呼ばれるアドラー心理学を専門分野とする精神科医。山梨県立大学人間福祉学部教授。大学での研究・教育に携わるとともに、病院での臨床、企業でのカウンセリング、子育てをテーマにした講演活動などでも活躍。