ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年5月号 NO.192

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2015年5月号 NO.192

5神奈川県生まれ。幼稚園・保育園での勤務を経た後、2007年に北杜市で「森のようちえんピッコロ」をスタート。以来、森のようちえんの活動を実践し続けている幼児教育の専門家。自然の中で〝子どもたちが自分で考え、自分で決める?保育スタイルが注目を集める。現在は約30名の子どもたちとともに、驚きと笑いに満ちた日々を送る。いのだろうかと、とても迷った。「 後から言おうか?」などと、大人が先導することはいくらでもできる。しかしここで大人が手助けをしたら、今までやってきたことが嘘になる。時 間や世 間 体に左 右される大人(私)を在園児に見せるだけになるのだ。私はグッと我 慢した。ここは教 育施設だ。例え式でも、来賓が見えていても、大人の都合より子どもたちの教育を優先させる場所。そして万が一クレームが来ても、そこでの教 育 的 配 慮を明 確に説明できる強さも覚悟も必要なのだ。“待つ”はそこまで考えないとできないと思う。 彼はかなりの時間言えなかった。どうか早く話してほしいと願いながら待っていると、なんと今まで遠 巻きで見ていたOB男子が代わる代わる彼の後ろを行き来し始めたのだ。何も言わずにそばにいる子 、「 今 、考えているのじゃない」とその子の気持ちを代弁する子、何かをささやいている子 、みんな彼を見ていられなかった。後から聞いてみると「 国 語とか算数がありますって言えばいいんだよ」や「好きな科目を言えば」などと助言していたそうだ。私はそれを聞いて泣けてきてしまった。彼らは在園時代ずっとそうしてきたからだ。誰かが困っていると自分の心がわさわさする、手助けしなくてはいられなくなる、知らん顔はできない。卒園しても変わっていなかった。他人事でない子どもたちがそこにいた。それは彼らが話せない子の気持ちがわかるからだと思う。自分もピッコロで何度も同じ経 験をした。もしくは想 像力もあるからだ。思いやりを持ちましょうと大 人は普通に言うけれど、そんなに簡単に思いやりのある子には育たないと思う。心が揺れる体験をして、初めて獲 得していけるのだ。道徳の時間だけで育つものでもない。 私は覚悟を決めて待ち続けて本当によかったと思った。待たないと見られないこと、育たないことはとても多いと思う。きっと私のその覚悟を子どもたちは見ているのだろう。待 つとは 我 慢と覚 悟 。やっぱりいつも私(大人)の修行です。