ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年5月号 NO.192

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概要

ちびっこぷれす Chibikko press 2015年5月号 NO.192

15由な発想を見せてもらえることは、教育者としても、絵を描く表現者としても、とても嬉しいことです。あと意外とよかったのが、親も自分の作品を作る機会を 持ち、そこで子どもの自由な発想に出会えることです。一方の子どもは、工作する親の持つ「技」に出会います。そこに相互理解の構造が見え、「これって子育て支援だ」 って、ある時に気づきました。編 子どもたちに伝えたいことは。伊藤 何かに夢中になるような経験をたくさんして大人になってほしいですね。まず自分の感じたこと、考えたことを大切にしてほしい。それが自分の存在そのものを肯定的に感じることにつながり、強さとやさしさになると思うんです。そんな子どもたちが増えれば、彼らが日本の次の豊かさを作っていくんじゃないかなと。そんなことを言葉ではなく、造形を通じて伝えたいと思っています。いないようでも聞いているし、彼らなりにちゃんと考えている。編 幼児にとっての造形ってどんな意味があるのでしょう?伊藤 五感で感じ、頭で考え、筋肉を動かす。子どもの成長にとって、この3つはとても大事なものだと思います。造形にはそれがたくさん含まれている。本来これは生活の中で繰り返されることで、造形は子どもの生活そのものであると言えます。編 造形広場は子どもたちにとっては遊びですか?伊藤 遊び=学習という考えがあります。例えば、絵の具をまぜて色がにじむ。それが面白い、またまぜてみる、にじんだ、やっぱり面白い…この繰り返しに没頭している子どもに“制作”の意識はありません。でも脳も体もすごく活動しているし、思う存分やった後はとても満ち足りた顔をしている。頭と体、そして心も育っているのだと思うんです。編 始まってから12年とのことですが、振り返って思うことありますか?伊藤 “子どもが先生”ですね。その自編集部 つくろう!あそぼう!造形広場ではどんなことをしていますか?伊藤 アルミホイルを使って粘土細工みたいに立体作品を作ったり、クレヨンをいつもと違った使い方──重ねたり、こすったり、ひっかいたりして絵を描いたり。立体と平面とを半々ぐらいにして、年間11回の造形活動を行っています。編 各プログラムはどんなことを考えながら作るのですか?伊藤 切る・貼る・塗るを基本エレメントとして、そこに素材と道具、そして「ふくらむ」や「にじむ」などの原理との出会いを作る。そんな考えでやっています。編 流れはどんな感じですか?伊藤 まずは私のデモンストレーションです。「こうやると、こうなるよ」とか「こうなったけど、どうかな?」というアプローチなんですけど、その途中から子どもたちの想像がふくらんで色々な声が飛び交い、早く作りたくてウズウズしてる(笑)。編 「こう作りなさい」とは言わない?伊藤 はい。どんなものを作ってもいい。何を作っていいかわからずに戸惑う子もいますが、そんな時は近くで「こうすると面白いよ」とつぶやく。そこですぐに反応がなくても、しばらくすると作り始めます。中には「言われたようにやってみたけど、あまりよくないじゃん」なんて批評する子もいます。子どもは聞いて空き箱を使って飛び出るおもちゃを作ったり、スポンジでお絵描きしたり、クレヨンの新しい使い方(重ねる・こする・ひっかくetc)を発見したり…山梨県立美術館で行われている「つくろう!あそぼう!造形広場」は、いつも子どもたちの歓声にあふれているアートイベント。10年以上にわたって行われてきたこのプログラムの考案者・伊藤美輝さん(山梨学院短期大学教授)にその人気の秘密と、子どもたちとアートの不思議な関係について聞きました。日時=月1回土曜 13:30~ 15:30会場=山梨県立美術館ワークショップ室   (甲府市貢川1-4-27)対象=幼児?小学生とその親/参加費無料TEL055-228-3322※年間予定は下記の通り5/9クレヨンであそぼう、6/13アルミホイルであそぼう、7/11スポンジで描こう、8/8プレゼントBOX、8/29ヘッド・ドレス、10/10山梨学院スペシャル・組み込み動物、11/7イーゼルで描こう、12/12ポップアップクリスマスツリー、1/9凧をつくろう 凧をとばそう、2/13かさねて見る絵、3/5箱であそぼう 箱の中の世界つくろう!あそぼう!造形広場(山梨県立美術館)