ブックタイトルちびっこぷれす Chibikko press 2015年1月号 NO.188

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ちびっこぷれす Chibikko press 2015年1月号 NO.188

13逆に「『さいこう』+『かなり』で、今日は最高だったけど、明日はもっといい日になるような希望を感じる」と、意外な感想を寄せてくれる人もいました。編 「ねこのピート」をこんなふうに感じてほしいというのはありますか?大友 原作者のエリックさんは、この作品に禅の思想を込めたそうです。編 禅ですか?大友 「大切なものを失っても、一日一日を精一杯生きる」とか「ありのままを受け入れる」という考えですね。絵本はかけ合いと歌ですごく楽しい雰囲気だけど、最後の1ページにそういうピートの生き方が描かれている。不思議なことに子どもたちは、こちらが何も言わなくても作品の本質をわかっているみたい。最後のシーンになると静かに聴いています。音楽は希望そのもの大友 ピートはもちろん、私の公演では毎回登場します。音楽とマジックで行っていたライブに絵本が加わったわけですが、今はもうピートは外せない。行く土地土地の地名を入れて「神戸、かなりさいこう!」とかやるのですが、「福島のみんな、かなりさいこう!」とやった時には、子どもたちがすごく喜んでくれました。震災以降、誰も自分の住んでいる場所を肯定してくれてないのを、子どもたちも感じていたんでしょうね。編 被災地に何回も行っているんですね。大友 震災後3週間くらいの時、宮城の親戚から「演奏しに来て」と言われたんです。まだ自衛隊が行方不明者の捜索をしている時に避難所を回りました。明らかに迷惑がっている人もいる中、拡声器を使って始めたんですが、子どもが笑ったその瞬間に会場の雰囲気が和らいだんです。最後はみんなで「ふるさと」を歌いました。私にとっては、音楽が希望そのものであると改めて知らされた経験でした。その時、被災地が復興するまで音楽を届けようと決めたんです。今も2ヵ月に一度くらい行っていて、この3年半で約160回の公演を行いました。たった1時間のコンサートだけど、みなさんが笑顔になって帰っていくのを見ると、もう一生やめられないのかもしれません。編 今の被災地をどう感じていますか?大友 行くたびに思うのは、復興は進んでないってこと。仮設住宅では自殺者も増えていて、子どもたちは思い切り遊ぶことも大声を出すこともできない現実を見聞きします。行政や国が本気で動いているようには思えない。正直怒りを覚えています。そんな理不尽な現実が、歌や絵本の力で少しでも変わってくれればという願いもあるんですよ。編 今度山梨でもチャリティライブを行いますね。大友 1月16日は大人むけ、18日は親子のコンサートです(詳細P.16)。大人むけの公演には長年音楽教師をしていた私の父を、親子公演には山梨の音楽療法士でパーカッショニストとしても活躍している友人をゲストに迎える予定です。それぞれ特別な公演になると思います。編 大人むけを作ったのはなぜ?大友 私はアメリカで暮らしたこともあるのですが、むこうに比べるとまだまだ日本の女性は育児や家事の負担が重い。そんな母親たちに1時間でも子育てから離れて、ゆっくり音楽を聴いてリフレッシュしてもらいたいと思っています。編 親子コンサートの方はどんな感じ?大友 マジックから入って、ピアノやピアニカの演奏、そして絵本と、3つの世界を楽しんでもらいます。子どもたちの反応を見ながら即興的にやる部分もあるので、命がけなんですよ。彼らには子ども騙しが通用しないので。これからは山梨でも公演を増やしたいですね。東京にはない豊かさがある編 大友さんがお住まいを東京から山梨に移したのはなぜですか?大友 元々子育てするには田舎がいいなとは思っていたのですが、山梨のあるバイリンガルの幼稚園に公演で行ったのがきっかけです。全国の色んな園に公演で行っていますが、一瞬でそこが気に入ってしまい…。編 住み心地はいかがでしょう?大友 自然が豊か、人と交流しながら安心して子育てできる、野菜はおいしくて安い、果物は買わなくていい(笑)。東京にはない、本当の豊かさがあると思う。これから私がやりたいことの一つは、東京に住んでいる友人やアーティストを山梨に誘致する仕掛けを作ることなんです。山梨って「かなりさいこう!」ですから。新しい靴をはいて出かけた猫のピート。白い靴がどんな色に変わっても「かなりさいこう!」と歌って前に進むポジティブさに、世界中の子どもたちが夢中!エリック・リトウィン=作、ジェームス・ディーン=絵、大友剛=訳、長谷川義史=文字画(ひさかたチャイルド 2013年)ねこのピート だいすきなしろいくつエリック・リトウィン=作、ジェームス・ディーン=絵、大友剛=訳、長谷川義史=文字画(ひさかたチャイルド 2014年)ねこのピート だいすきなよっつのボタンねこのピート第2弾。YouTubeにアップされた、大友さんによる絵本ライブの動画も必見!(http://ねこのピート.jp)クリスティ・マシソン、大友剛=訳(ひさかたチャイルド 2014年)さわってごらん!ふしぎなふしぎなまほうの木描かれた木の枝をそっと触ってみると…。絵本をゆすったり温めたりしながら四季の物語を進めていく、ユニークな参加型絵本。